株で1億円のキャピタルゲインを

株で勝つための銘柄分析、本の要約をブログにしています。

株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす②

黄金の銘柄を探す

・配当の再投資が大いに物を言う。配当利回りが高い銘柄を選んでPFを選んだところ、そのリターンは市場平均を年3%上回る。逆に配当利回りが引く銘柄を選んだPFのリターンは2%下回った。

株式投資のリターンを左右するのは、企業の増益率ではなく、実際の増益率が投資家の期待を上回るかどうかの1点にかかっている。PERの低い銘柄のPFは市場平均を3%上回り、PERの高い銘柄のPFは市場英金を2%下回った。投資家は、実際の増益ペースがどうあれ、高成長企業に対しては楽観的過ぎ、低成長企業に対しては悲観的過ぎる。ここにも、成長の罠の跡がみて取れる。

 

・成長の罠は国単位でも確認できる。過去10年間、世界のどの国より高い成長率を達成した国が、投資家にもたらしたリターンは、どの国よりも低かった。つまり中国は1990年代の世界経済の原動力ではあったが、株価が過大評価されすぎ急落して、投資家の期待を手痛く裏切った。

・S&P500の当初(1957年)採用企業の運用成績は、平均すると、その後半世紀の間に採用された1000社近い新興企業の運用成績を上回っている。長期投資家の立場から見て、リターンの最大源泉となるのは配当のため。老舗企業は配当が高い。

 

・S&P500種を対象に、12/31を基準にPERを算出し、5つのグループに分けた。その結果、名目リターンは、

 PER最低(14.1%)>S&P500(11.2%)>PER最高(9.2%)

成長見通しだけを理由に買い続ける限り、手にするリターンは期待外れ

・黄金の銘柄はPERが最低のグループに入っていない。意外ではないが、こうした価値組の増益率は軒並み高水準で、平均でみてもS&P500を大幅に上回っている。しかしバリュエーションをみると、PERは市場平均をごくわずかしか上回っていない。

 

株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす①

本著は「株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド」の結論をもう一段掘り下げたもの。これを読み進めることで、インデックス運用を上回る方法を見つけることができる。

 

成長の罠

・新興企業や新興業界のリターンは、数十年前に創設された老舗企業を、たいていの場合下回っている。成長に目を奪われると、落とし穴に足を取られる。

 例えば、IBMとスタンダードオイルを1950-2003年で比較する。

1株当たりの売上高:IBM(12%) > OIL(8%)

 1株当たりの配当:IBM(9%) > OIL(7%)

 1株当たりの利益:IBM(11%) > OIL(7%)

セクター成長率:IBM(15%) > OIL(-14%)

すべてIBMが勝っているが、

 株価上昇率:IBM(11.4%)>OIL(8.8%)

 配当利回りIBM(2.2%)<OIL(5.2%)

 トータルリターン:IBM13.8%)<OIL(14.4%)

これはPERでIBMが27倍に対し、OILは13倍であり、OILがバリュエーションで圧倒しているためだ。投資家のリターンを決定するのはバリュエーション

1950年~2003年の運用成績でみた最上¥上位4銘柄は、クラフト・フーズ、RJレイノルズ・タバコ、OIL、コカ・コーラ。市場平均の6倍もリターンを得ており、すべて成長産業ではなく、むしろ半世紀前に開発した汎用品に近い製品を作り続けている。(この④銘柄を含め、リターンが最も高い20銘柄を黄金の銘柄と呼ぶ)

 

 

株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド⑧

株式で富を築く

・「なぜ機関投資家は、彼ら自身が市場そのものだというのに、市場を上回る利回りを期待するのだろうか」

投資信託で年間手数料が1%課されると、30年後の最終的な累積額は1/3ほど減少する(例:利益が1000万円だったはずが、1%手数料で666万円まで減少)。

 

投資を成功させる指針

 1.自らの期待を過去の範囲内に留めること。

過去のデータでは、200年間の株式実質利回りは6.8%で、PER平均は約15倍(インフレが2%だとすると、名目利回りは8.8%であり8年で資産が2倍になる)。ただし取引コストの低下、国際分散の能力、マクロ経済の安定化によりPERが20倍程度になるかもしれない)

 

 2.株式PFの少なくとも1/3を国際株に投資すること。

高度成長の国の銘柄は過大評価され、投資利回りも良くないことが多い。

 

 3.割安株のインデックスファンドを購入すること。

過去の利回りに基づくとバリュー株はグロース株よりも高利回り低リスクである。

 

 4.行動ファイナンスを勉強し、パフォーマンス低下をもたらす落とし穴を回避すること。

投資家の感情の揺らぎが、ファンダメンタルズ以上に価値を押し上げる。強気相場の時回、弱気相場のとき売ろうとする誘惑に抗うのは難しい。

株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド⑦

季節のアノマリー

・2月から12月にかけて小型株の利回りは大型株より低く、歴史的には、小型株を保有して有利な期間は1月だけ。

 S&P500+1月の小型株:14.9%(1926-2006)
小型株    :12.2%

 S&P500       : 10.3%

日本では1月の小型株の超過利回りは米国市場よりも高く、年率換算で7.2%である。

・1月効果の理由は定かではないが、過去11ヶ月において値下がりした株は、12月には節税目的で売られやすい。この売りが小型株の下げ圧力になる。売りが終わった後の1月に、これらの小型株の価格は反転すると予測している。

・ただしこの1月効果は有名になりすぎて、近年では1月効果が弱まっている。1990年-2007年のラッセル2000の1月平均利回りはS&P500の利回りを0.6%上回ったに過ぎない。ただし、1月効果がなくなったとトレーダーが考え始めると、また1月効果が復活する。

 

・月別では8-9月は配当込み利回りが-0.7%程度だった。

・特に9月はどの国もマイナスリターンになるほど悪い。

・ダウ平均で1885年に10,000円投資すれば、2006年に4,900,000円になっていた(キャピタルゲインのみ)。この内8月31日に売却し、10月1日に購入すれば、21,760,000円になった。

 

・クリスマスから新年迄の利回りは、過去120年間で平均すると10倍

・月の前半(前月の最終取引日と当月の14日目を含む)ダウ平均の上昇は、月の後半のほぼ9倍(近年は弱まりつつあるがそれでも3倍。月次の給与支払いに関係あり)。

・水木金に利回りがマイナスとなった国はない。火はアジアとオーストリアで市場が低迷する日であり、これは欧米における月曜日の低迷の影響。ただし、このパターンが知れ渡ってしまい、1990年以降月曜日は最低の日から最高の日に、金曜日は最高の日から最低の日になった。

 

行動ファイナンスと投資の心理学

・バブル:彼らは群れで考え…群れで狂う、そして、ゆっくりと一人ずつ正気に戻っていく

・正しい株価を見つけ出す作業は非常に複雑の為、頭に残っている最近の株価を拠り所として使い、現在の株が安いと判断するのは自然(アンカリング効果)。だが、期待通りに株価が動かなくなった時、敗者となった銘柄をすぐに手放し、勝者だけを持ち続けるべき。損切はプロスペクト理論より、大きな痛みが伴うが、下がる株は下がり続ける。(下落のモメンタム)

株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド⑥

株式と戦争

・戦時でも平時でも株式の名目利回りは変わっていない。しかし、物価の平均上昇率は戦時中は約6%だったが、平時は2%を下回るため、平時の株式の実質利回りは戦時中の実質利回りを大きく上回る

 

・市場が予測と実際の値との違いだけに反応する理由は、期待される情報が株価にすでに織り込まれているからである。ある企業が良い業績を発表すると予測されているならば、市場はこの好材料をすでに株価に織り込んでいる。

 

金利影響と企業業績の影響のどちらが強いかは、経済が景気循環のどこに位置しているかに依存する。景気後退期には企業業績の変動が金利変動よりも重要なため、予想を上回る経済指標は株価を上昇させる。反対に、予想を下回る経済指標は株価を下落させる。一方、景気拡大期、とくに拡大期の終わりには、インフレの方がより脅威になるので、金利の影響の方が強くなる

 

・インフレ指標が予想より低かった場合には、債権と株式は上昇する。予想より高かった場合は、金利を上昇させ、債券と株式の価格を押し下げる。

 

市場のボラティリティ

・「危機」という言葉は、2つの漢字で成り立っている。最初の漢字は「危険」を意味し、2番目の漢字は「機会」を意味する。

 

・1885年から2006年まででダウ平均が5%以上変動した日は126日あった。この内上昇が59日で下落が67日。

 曜日別:水曜日が上昇しやすく、月曜日が下落しやすい。

 月別:6,8月が上昇しやすく、9,11,12月が下落しやすい

 

テクニカル分析とトレンド投資

・200日移動平均線を1%以上上回ったとき株式を買い、下回ったときには株式を売り売却金額を短期国債に投資し金利収入を得る戦略は、買い持ち戦略と比較し、1/2以下の利回りである。よって失敗。

・ナスダックで同様のことを行うと、取引コストを含めても買い持ち戦略と比較し、+2.1%(1990-2006)と素晴らしい成果を上げている。特に1999-2001年のITバブルで成功した。

→モメンタムが大きいナスダックでは効果的?

 

・過去6か月間、上位10%の利回りを上げた銘柄は、次の6ヶ月間、下位10%の利回りの銘柄を毎月1%ほど上回っている。52週間の高値に近いようなところで株を買うような、他のテクニカル戦略も成功する(モメンタム戦略)。ただし、これは短期間のみ有効で長期的な戦略にはならない。最初の1年に生み出された超過利回りの半分以上が、その後2年間に失われた。

・過去3-5年間業績の悪かった銘柄の利回りが、次の3-5年は、過去の業績が良かった銘柄を大きく上回った。

・「ウォール街のランダム・ウォーカー」ではテクニカル分析を完全に否定しているが、200日移動平均や短期の価格モメンタムのような単純な売買ルールが、投資利回り改善のために利用できる。

株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド⑤

国際投資

・米国株の時価総額は世界全体の50%に過ぎない。投資先を米国だけに絞るのは、世界の資本の半分を無視することになる。

・米国市場が堅調なときには海外市場が低迷し、海外市場が好調な時には米国株が低迷する局面が、これまでに何度もあった。米国株の利回りは1970年代と80年代に欧州株と日本株を下回っていた。利回りのばらつきを考慮すると、世界的に十分に分散されたPFを維持することが重要。

   1970-2006   1970-1979    1980-1989    1990-1999    2000-2006

米国  10.8%            4.6%              17.1%               19.0%             2.5% 

欧州     12.3%            8.6%              18,5%               14.5%            7.3%              

日本        11.5%             17.4%             28.7%              -0.7%            4.3%

→ある特定の市場が永続的に優位に立つことはない。よって、米国は現在一人勝ちで米国株に資金が流れる傾向にあるが、日本や欧州の利回りのほうが高い可能性が十分にある。

 

・2050年の世界の人口予測:①アフリカ(20%), ②インド(18%), ③中国(15%), アメリカ(4%)

・2050年の世界のGDP予測:①中国(23%), ②米国(12%), ③インド(12%)

・2050年の世界の株主資本予測:①中国(25%), ②米国(20%)

→投資対象を米国株だけに絞るのは、投資家にとって危険な選択。なぜなら、米国株の世界シェアは、2050年に20%まで下がるから(今50%)

 

インフレ

保有期間1年では、インフレ率が高ければ高いほど実質利回りは低くなる(債券も同様)。しかし、保有期間が30年になると、インフレ率と実質利回りに全く相関性がなくなる。これは株式の長期利回りがインフレ率と同じベースで上昇するためである。株式は実物資産の利益に対する権利であるため、長期利回りがインフレに影響されないと考えるのは妥当。

 

景気

・景気の天井や底の前に株価は先行する。天井や底の1ヶ月前に購入できれば複利で1.8%市場平均より勝て、30年間でトータルリターンは60%増える。しかし、経済学者でも景気の天井や底を予測することはできなく、一般投資家には不可能。景気の底や天井を感じたときには株価はすでに底や天井をとっくの昔に過ぎている。

 

株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド④

市場に勝つ

    1926-2006   左の内1975-1983年を除く

S&P500  10.3%         9.6%

小型株          12.2%          9.6%

→投資家が小型株を避ける理由にはならず、むしろ小型株優位になるかもしれない。ただし、10年という期間ごとに決まって大型株を上回るとは限らない。

 

・S&P500構成銘柄の配当利回りと投資利回りの関係

配当利回り  利回り

最高     14.2%

高      13.1%

中間     10.6%

低       9.8%

最低      9.7%

配当利回りが低いのは成長株で割高な銘柄が多いため?配当利回りが高いのは石油系・たばこ系

 

・ダウ10戦略とは、ダウ平均構成銘柄の内配当利回りが最も高い10銘柄をある年の12月31日に購入し、それらを翌年いっぱい保有し、12月31日になったらその時点で配当利回りが最も高い10銘柄と入れ替えるというプロセスを繰り返す戦略のこと。同様な戦略をS &P10のほか、ダウ30でも1957年から2006年までシミュレーションした。

S&P10    15.7%

ダウ10    14.1%

ダウ30   11.9%

S&P500 11.1%

→やはり高配当銘柄が圧倒的優位。20年間では比較すると、S&P500は8.2倍資産が増えるのに対し、S&P10は18.4倍増える。

 

・PERでも比較した。S&P500を12月31日のPERの順に5グループに分け、グループごとに次の12ヶ月の利回りを計算した。

PER   利回り

最低   14.3%

低    13.5%

中間   11.1%

高    10.0%

最高     8.9%

→PERでも配当と同様な結果。

 

・規模別(5グループ)とPBR別(5グループ)に分類した利回り

最割安×最小型 19.6%

最成長×最小型     6.0%

最割安×最大型 13.2%

最成長×最大型     9.9%

→残り21パターンを省略したが、割安で小型株ほど利回りが高い。

 

・割安株も、弱気相場では株価が好調に推移する傾向にあるものの、強気相場の後半では成長株の利回りを下回ることが多い。高利回りを狙う戦略を取るのであれば、投資家には忍耐が必要。