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千年投資の公理 売られ過ぎの優良企業を買う③

経済的堀の一つ、乗り換えコストについて

 

・銀行口座は高い預金金利や安い手数料を求めて頻繁には買えない。一方でガソリンはリッターあたり1円安いスタンドを求めて少々遠いスタンドにも行く。ガソリンの節約金額に比べて、口座の変更の方がより節約できるのになぜしないのだろうか。答えは簡単で、スタンドの変更は10分でできるが、口座の変更は10分では済まない。また電気料金やクレジットカードの引き落としがされないなどの予想外の出来事があるかもしれない。

・この乗り換えするときのコストが競争上の価値ある優勢になる。ただし、自分で使うものでない限り消費者の恩恵を受ける企業を見つけ出すのはなかなか難しい。顧客の立場に立ってコストとメリットのバランスを理解しなければ、なかなかわからないからだ。

・乗り換えコストが高いの一例として、Aソフトウェア会社がある。AからB会社に移るときBがデータのインポート機能を備えていても、財務上の生命線とも言えるデータの入力を自身で確認したいと思うに違いない。また、金融データの一部が正しく登録されないリスクを孕んでいる。よって一度Aを採用すると、Bなどのライバル社に移行しようと思わないのだ。

・他の例として、さまざまなデータを連携させているサービスの場合、連動データのプログラムも新たに設定しなおさないといけない。お金と時間がかかるだけでなく、プログラミングがうまくいかなければ業務が混乱するリスクもある。またソフトの違いから、社員にソフトの再訓練を実施する必要がある。これも乗り換えコストが高くなる一因。

ジェット機のエンジンなど製品の失敗に対する許容度の低さについても経済的な堀がある。A社は顧客と一緒に製品開発をすることで品質を維持しており、B社に変えてまで得られるメリット(コスト減)は品質低下リスクに関するデメリットを消し去ってしまう。