株で1億円のキャピタルゲインを

株で勝つための銘柄分析、本の要約をブログにしています。

ウォール街のランダム・ウォーカー②

モメンタム戦略は儲かるか

・テクニカル・アナリストは、砂上の楼閣理論に基づいて投資戦略を練り上げる。彼らはテクニカル分析を用いれば、市場でどのような楼閣が作られようとしているかがわかると主張している。

・テクニカル・ルールに関しては、徹底的なテストが行われてきた。20世紀初めまでさかのぼる膨大なデータが、そのために用いられた。そして過去の株価を分析したところで、将来の株価を予測するのに何の役にも立たないというのが、その結論。株式市場はほとんど記憶というものを持たない。株式市場は時として、モメンタムの存在を裏付けるような動きを示すことはあるが、それには全く規則性がなく、それを資料して超過リターンを得られるかどうかは、売買コスト差し引き後で見ると、断定的なことは言えない。テクニカル戦略が絶対に儲からないと言っているわけではない。実際、テクニカル戦略を用いたために損失を被ったという投資家は少ないはずだ。大事なことは、単なる「バイ・アンド・ホールド」戦略でも、テクニカル戦略と同じくらい、もしくはそれ以上に儲かるということ。

 

フィルター戦略は儲かるか

・直近の下値からX%以上上昇した銘柄は上昇トレンドにあり、反対に、直近の高値からX%以上下がった銘柄は下落トレンドにある。従って、X%以上値上がりで買い、X% 以下で売却または空売り。このフィルター戦略も徹底的なテストが行われてきた。X=1〜50で、テスト期間にも様々。また市場平均から個別株まで広範囲に渡った。その結果、売買手数料を考慮すると、バイ・アンド・ホールド戦略を継続的に上回ることはできなかった。

マルキール個人は、この戦略を使用しない方が賢明と考えている。

 

ダウ理論は儲かるか

ダウ理論は、抵抗線と指示線との間に繰り広げられる壮大な綱引きである。相場が頂点をつけ下落に転じると、以前のピークは抵抗線となる。なぜなら頂点で売り損なった人々は、もう一度同じ機会が与えられたら売りたいと思うため。その抵抗線をブレイクすれば、以前の抵抗線支持線となり、しばらくは上昇が期待できることになる。一方で抵抗線を抜けなかったり、これまでの支持線を突き抜けたりすると、弱気のシグナルとなる。

この理論も売買手数料の差でバイアンドホールド理論に若干劣ったものとなる。

 

レラティブ・ストレングス理論は儲かるか

・直近期に代表的な市場のインデックスをパフォーマンスを上げた銘柄を買って保有する理論である。ある特定の時期を対象にした分析では、バイアンドホールド理論を上げたという結果も報告されているが、過去25年間でテストを行ったところ、売買手数料と税金を考慮するとバイアンドホールド理論を上回るパフォーマンスを上げることはできないという結論が得られている。

 

「ダウの負け犬」戦略は儲かるか

・ダウの中から最も配当利回りの高い10銘柄を買う。配当利回りが高いということは通常はPERやPBRも低いと考えられるが、ダウ平均を2%以上上回っていた。この戦略は1991年に提唱された後、多数の投資信託が売り出された。大勢の投資家が同じゲームを始めた途端、90年代後半にダウを下回る成績になってしまった。有名になり過ぎた戦略はもはや何の役にも立たない。

 

「一月効果」は儲かるか

・何人もの研究者が一月の最初の2週間にリターンが異常に高くなることに気がついた。この一月効果は特に小型株に強い。ただし、一月効果の規模は年によってまちまち。

 

まとめ

 有効なテクニカル手法は全て、究極的には自己矛盾を引き起こす。例えば、新年明けの株価がクリスマス前よりも高くなることを知った瞬間、クリスマスが来る前に買い始めるように、人々が明日、株価が上昇することを知っていたら、それは今日中に上がってしまう。

 テクニカル戦略の発想は面白いが、実質的な価値がないのがランダムウォーク理論の結論。証券会社がテクニカルアナリストを雇うのは、投資家に頻繁に売買を行わせ、その結果、証券会社に多くの手数料が落ちることを期待するから。

 1960年代半ばから1990年代半ばまでの30年間に起こった大きな上げ相場の95%が、この期間の7500取引のうちのたった90日、1%強で起きたことを確かめている。または、1900年ダウに1ドルかけ113年間放置すると290ドルに増えるが、毎年最も相場が上昇した5日間を外すと1セント以下となるということである。バイアンドホールドでこの上昇日を逃さないことが大事。