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マネーの公理 スイスの銀行投資家に学ぶ儲けのルール③

第5の公理:パターンについて(最も重要な公理)

・カオスは、それが整然と見え始めない限り危険ではない。

・パターンは、曇った空の中や大海の泡の中に見出せるように、時折、現れるようだ。しかし、それは儚い。

・秩序の幻想の実態について考えたいなら、書店に行って金持ちになるハウツー本を見てみると良い。著者は、自分が勝利の公式を見つけたので金持ちになったと信じている。しかし、事実は我々の方がよく知っている。単に幸運だったから金持ちになったのだ。

副公理V:歴史家の罠に気を付けろ。

 ・歴史家の罠は、特に整然と見える幻想である。歴史は繰り返すというまったく根拠のない確信を基本にしている。

 ・過去のどこかにおいてAという出来事の後にBが起こったとする。数年後、再びAという出来事が起きたとする。誰もが「ああ、Bという出来事がもうすぐ起こる!」と言うに違いない。ときには歴史が繰り返されることもあるが、めったに繰り返されないし、いずれに場合においても、慎重にお金をかけることができるほど十分に信頼がおけるようには起こらない。

副公理VI:チャーティストの幻想に気をつけろ。

 ・チャーティストの幻想は多くの場合、歴史家の罠をグラフで拡張したものである。

副公理VII:相関と因果関係の妄想に気をつけろ。

 ・毎日不思議な叫び声を発する男がいる。ある日警官が彼に近づいて、何をしているのか訊ねた。「私はキリンを追い払っている」と男は答えた。「でも、この辺りにはキリンはいないだろう」と警官は言った。男は「いい仕事をしているでしょう」と言う。存在しない原因と結果の関係を知覚してしまうのは、合理的な心を持つ人間の特徴である。いくつかの出来事が相前後して起こっているところに遭遇したとしても、確固たる証拠がない限りは、それは偶然の結果であると考えるべきだ。

・因果関係に取り憑かれてはならないが、研究を怠ってはならない。そこで「さて、私はよく研究したし、やり方もわかっている。この賭けは私に勝利をもたらすだろう。でも、私は、勝敗を左右するランダムな出来事を予測することも、コントロールすることもできない。間違う可能性が大きいことも知っている。万が一、間違いが起こった時にすぐに対応できるように、フットワークを軽くしておこう」と考えるべき。

 

第6の公理:機動力について

・根を下ろしてはいけない。それは動きを鈍らせる。

副公理IX:忠誠心やノスタルジーといった感情のせいで下落相場に捕まってはいけない。

 ・お剣を投資した対象に強く執着することは間違っている。

副公理X:より魅力的な投資先が見えたら、ただちに投資を中断しなければならない。

 ・根を下ろしてしまうケースは、報われることを待つという状況に陥るときだ。A社が塩漬け株で少なくともプラマイゼロになるまで待つのは機会損失が大きい。B社が上がると思えば、そちらを購入することでより早く利益を得ることができる可能性がある。どこに投資しようとも同じ金。

 ・持ち続けるか乗り換えるかという判断は、早く利益を確保するためには、どちらの投機が有利かということによってのみ下されるべき。