千年投資の公理 売られ過ぎの優良企業を買う①
・著者はモーニングスターの式リサーチ部門の責任者
・本書は2008年リーマンショック後に出版された本で、一貫して「経済的な堀」の重要性を説く。
・ウォーレン・バフェット系で、素晴らしい企業を適正価格で買い、長期間にわたって利益を複利で増やしていく手法。
【経済的な堀】の重要性
・利益率の高い企業はライバル企業を惹きつける。何があれば、縄張りに参入しようとしている賢くて資金力もあるライバル会社を拒むことができるか(=競争上の優位性=経済的な堀)を考える。
・堀によって企業は競争上の優位性を保ち、ライバル社からの侵食を食い止めることができる。
・過去の実績がどうであれ、何らかの経済的な堀がなければ、将来どれだけ株主の利益が増やせるかを予測することは博打に等しい。大きな利幅と急成長にすぐ目がいってしまうが、本当に重要なのはこの大きな利幅の持続期間。
・堀があれば、多少割高で買っていても、本質的価値の増加が投資リターンを守ってくれる。
・堀はいわゆる自分の能力の範囲を知る助けにもなる。投資家は投資先を自分がよく知っている分野に限定する方が、遠くまで網を投げるよりも大抵はうまくいく。競争上の優位性を持った企業の専門家になることで、膨大な数の投資先候補を自分で理解できる質の高い企業で詰まった小さな世界に限定することができる。
【誤解されている堀】
・素晴らしい製品
→初めてのミニバン、クリスピークリームドーナッツ、バイオエタノールの主役は取って変わった
・マーケットシェア
→肝心な点は企業が大きなマーケットシェアを持っているかではなく、そのシェアをどのようにして獲得していったかということ。価格で製品を決めるわけではないから、医療業界は規模へのメリットはあまりない。
・無駄のない業務執行
→逆説的に効率経営でしか成功できない競争の激しい業界である可能性が高い
・優れた経営陣
→成長企業には経営者の判断は必要ない。優れた企業は企業そのものが優れているのであって、経営者の資質は関係ない。
【経済的な堀】
・ブランド、特許、行政の認可などの無形資産
・販売している製品やサービスが顧客にとって手放し難いものであれば、乗り換えコストが少しでも余計にかかることによって顧客離れを防ぎ、価格決定力を企業の方に与える。
・ネットワーク企業の恩恵を受ける企業
・生産過程や場所、規模、独自のアクセスなどによって製品やサービスをライバル社よりも安い価格で提供できる企業
※堅実なROCをあげていて、上記特性の一つを持った企業を見つけることができれば、堀のある企業を探し当てた可能性が高い。